仚 やまのうえにひとがいるさま

なんだかとっても!いいかんじ説明シリーズ 第2回

この曲の出だしの文字




部首: 人 + 3画
総画: 5画
解字: ⿱人山

文字番号
U+4EDA
諸橋 00375
康熙 0092.140


この字は、歌詞中では「やまのうえにひとがいるさま」として使われている。
曲の出だしなので重要な部分である。たった一文字でありながら、13文字もの訓読みがあるとして、まずジャブを効かせているわけである。

Googleで簡単に検索調査をしてみたが、日本語で使われている例は見られなかった。

諸橋大漢和辞典には、次のように書かれている。

【仚】 375 ケン 〔集韻〕虛延切 ※韻の説明は「先、平聲」
㊀人が山の上に存るさま。〔說文〕仚、人存山上皃、从人山
㊁とぶ。輕く擧るさま。 〔集韻〕仚、輕擧也。〔正字通〕仚、輕擧貌。 〔鮑照書勢〕鳥仚魚躍。
[解字]會意。人と山との合字。人が山上にあるかたち。假借して䙴(高く擧がる)とす。 〔說文通訓定聲〕仚、人存山上皃、从人从山、會意、云云、假借、爲䙴。
[參考]屳(4-7874)は別字。〔字彙、辨似、二字相似〕仚、音軒、輕擧貌、人存山上。屳、仙同、入山爲仙。


字義は二つあり、一つ目は字を見ての通り、山の上に人がいる様子を表わす。曲で使われているのと同じ用法である。
もう一つは、飛んだり跳ねたりすることを意味するようである。

字そのものは日本語の音読みで「ケン」と読むようだが、呉音・漢音・唐音、いずれかは不明であった。

更に、Unihan.txtを見たところ、面白いことが分かった。
U+4EDA kJapaneseKun TOBU
U+4EDA kJapaneseOn KEN
Unihanには、訓読みとして「とぶ」が登録されているようである。確かに大漢和辞典の字義2には「とぶ」とあるが、これはどう見ても訓読みを書いているのでは無いだろう。
なにを根拠に「とぶ」が訓となったのか、興味深いところである。


この文字は康熙字典にあるようなので、康熙字典も調べてみた。
康熙字典網上版には、次のように書かれている。
仚 〔廣韻〕許焉切 〔集韻〕〔韻會〕〔正韻〕虛延切𡘋音軒輕與貌 〔鮑照書勢〕鳥仚魚躍 〔說文〕人存山上也與屳字不同

康熙字典の当該項目では、「與」は「𫟌」(CJK統合漢字拡張Dの候補)と書かれている。
内容は、大漢和辞典に引用されているほぼそのままである。


大漢和辞典には「人が山の上に存るさま。」とあり、これが転じて「やまのうえにひとがいるさま」となったものと考えられる。
しかし現時点では、やはりコンセンサスという意味で、この字を「やまのうえにひとがいるさま」と訓じることはできないと考えられる。いわんや、これを「とぶ」と訓じるのも、コンセンサスが得られているとは考えにくい。


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2010/02/10(水)17:51 |Comments(0) |Trackback(0)

文字 | 言語学 | 学問・文化・芸術 | [編集]

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